オフショア開発は「人手不足の解消」や「開発コスト削減」を実現する有効な手段として、多くの日本企業が導入を進めています。しかし、実際には「品質が合わなかった」「意思疎通が取れなかった」という失敗例も少なくありません。
この記事では、日本企業がオフショア開発を成功させるために押さえておきたい重要なポイントを、実務に即した観点からご紹介します。
1. 「安さ」だけで判断しない
最も多い失敗例が「費用だけを見て委託先を選んだ」ケースです。
安いには理由があります。開発スキルや品質管理体制、サポート体制が十分でなければ、かえって手戻りが増え、結果的に高くついてしまうことも。
チェックすべき評価ポイント:
- 過去の実績・開発領域
- 日本語や英語での対応力
- 品質管理(テスト・レビュー体制)
- トラブル時の対応スピード
2. ブリッジSEを活用して「ズレ」を最小化する
言語・文化・開発スタイルの違いは、オフショア開発における最大の障壁です。
これを解消するのが「ブリッジSE(Bridge System Engineer)」の存在です。
ブリッジSEの役割:
- 日本語・英語双方に堪能
- 技術的背景があり、要件を正確に翻訳
- 双方の進行スピード・常識感覚の違いを埋める
3. 日本式の品質管理を現地にも浸透させる
日本企業の強みは「丁寧さ」「品質へのこだわり」です。
これをオフショアに持ち込むには、以下の仕組みづくりが有効です:
- コーディングガイドラインを明示
- Pull Requestベースのコードレビューを徹底
- テスト項目・再現手順・バグ管理方法を標準化
- 毎週ふりかえり(振り返りMTG)を設ける
「現地に任せきり」ではなく、「一緒に品質を作っていく」姿勢が大切です。
4. 成功企業は「教育」と「育成」にも投資している
継続的な成功には、「育てる視点」が欠かせません。
- 日本文化やビジネスマナーを学ぶ機会を設ける
- 開発以外に、議事録作成やQAチェックなども任せる
- 日本側の担当者も“海外チームとの接し方”を学ぶ
5. 「小さく始めて、徐々に広げる」
最初から大規模開発を外注するのではなく、まずは:
- 保守運用や検証業務など、比較的リスクの少ない業務から
- 小規模なWeb開発やツール制作など、単体で完結できる業務から
徐々に信頼を深め、範囲を拡大していくのが安全で効果的です。
【まとめ】オフショア開発成功のカギは「人」×「仕組み」
オフショア開発を成功させるには、委託先の選定、体制づくり、文化理解、教育、品質管理など、さまざまな観点が求められます。
その中心にあるのは「人」です。価格だけではなく、「共に育ち合えるパートナーかどうか」を基準に選びましょう。